食生活のこと、考えてますか?

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突然ですが、草食動物と肉食動物の体の構造の大きな違いは腸の長さです。

草食動物の腸は長くできています。例えば、牛の腸は体長の約20倍もの長さがあります。
これには理由があって、草食動物の場合、草や穀物が主な食料になるわけですが、それらは食物繊維を多く含むので、消化するのにとても長い時間が掛かってしまいます。それを腸内に棲むバクテリアの力を借りながら、ゆっくりと分解して栄養を吸収できる状態にします。腸が長ければそこにたくさんのバクテリアが繁殖可能になり、また消化に時間を掛けられるという利点があります。そのため草食動物は、自分の体長に比較して長い腸を持っているのです。

一方で肉食動物は、例えばライオンの腸の長さは体長の約3.5倍しかありません。
肉食動物は他の動物を捕らえて食べるわけですが、動物の肉は消化の過程で腐敗します。草や穀物と違い、動物性たんぱく質は腸内を通過する際に様々な有毒ガスを発生させてしまいます。その毒素が体内に吸収されてしまうのををできるだけ抑え、排出までの時間を短縮するために、肉食動物の腸は短くできています。

余談ですが「腐」という漢字をよく見てみると「府」の中に「肉」が入っているのが分かります。「府」は人間の「内臓」を表しています。「内臓(府)」に「肉」が入るとやがて「腐(る)」ということをこの漢字は表しているのです。

私たち日本人は欧米人に比べて腸が2m~3m長いと言われています。
日本人は古来より穀物や野菜など、食物繊維を多く含む消化のしにくいものを中心に食べてきました。その結果、草食動物とまではいきませんが、比較的長い腸を持つようになりました。欧米人に比べて胴が長い(つまり足が短い・・)われわれの体型は、実は腸が長いことに起因しているのです。
一方で、肉食中心に発達してきた欧米人は比較的腸が短く、その分だけウエストの位置が高くなり、結果的にあのスラっとした長い足を手に入れたのです。まあ、羨ましい限りですが・・。
戦後、わが国にも欧米化の波が急速に押し寄せ、気づけば食生活もすっかり肉食中心となってしまいましたが、日本人の体はまだまだその変化に対応できずにいるのが現実ではないでしょうか。

近年では、欧米諸国でも肉食の有害性について声高に叫ばれるようになりました。
現代の病気はそのほとんどが血液の質の低下(悪化)により引き起こされていると言われていますが、血液に悪影響を与える最大の要因が、肉食過多による有害物質の摂取だということが明らかになってきました。アメリカ上院、栄養問題特別委員会のレポートでは、日本の永平寺の食事(精進料理)が理想的であると報告されています。

私たち全員が明日からそのような食事だけで生きていくことは難しいと思いますが、まず一度、普段の食生活を改めて見直してみる必要があるのではないでしょうか。そして血液の質、その向上を常に意識的に考えていくことが、健康につながるとても重要な要素だと思います。